不気味な話:会社にある”開かずの間”に興味を持った新人

会社にある”開かずの間”に興味を持った新人が…




うちの会社には、”開かずの間”がある。

自分も気になっていたけれど、当時の先輩から「気にするな」と言われていた。

しかし、ある年に入社した新人が…。



07/09/28
うちの会社には、開かずの間がある。嘘みたいなほんとの話で、確かにある。

会社は3階建て。その3階の端に資材倉庫があり、その倉庫の奥に、扉が設置されている。

新人の頃、資材を取りに倉庫に行った際にドアの存在に気付き、当時の先輩に聞いてみたが、「気にすんな。」の一言で片付けられた。

会社の外から見てわかったが、そのドアの先には部屋があるようで、窓も付いている。

常にカーテンが閉められていて中は見えない。不思議に感じたが、まぁ倉庫の一部だろう、と思っていた。

1ヶ月ほど前、我が部署に新人のKが配属された。4月からの研修を終え、正式に配属されてきたピカピカの一年生。新人ということで、俺の時と同じように色々と雑用を頼まれることもある。

ある日、その新人のKが俺に質問をしてきた。

K「〇〇さん(俺の名前)、あの、この前資材倉庫に行ったんですけど…」

ピンときた。

俺「あぁ、あの扉のことか?」

K「そう、そうです。何ですかね?あの扉。奥の部屋も倉庫なんですか?」

俺と同じだ。なんだか微笑ましい。

俺「あれな、俺もよく知らないんだ。昔、俺も先輩に聞いてみたら、気にすんな、って言われたよ。」

K「そうですか…。あれ、カギ掛かってるみたいなんですが、倉庫のカギで開くんですかね?」

俺「どうだろうな。試したことないけど。倉庫なら開くんじゃないか?」

K「うーん…今度行ってみるかな。。」

なかなか好奇心旺盛なヤツだ。俺も何か気になるので、中に何かあったら教えてくれよ、と言っておいた。

その翌日。またKがやってきた。

K「〇〇さん、ダメでした。あれ、倉庫のカギじゃ開きませんよ。」

どうやら、あの後すぐ開けに行ったらしい。

俺「そうか、ダメか。じゃあ別のカギがどこかにあるんだろうな。」

K「いえ、違うんですよ。あの扉、こっちからは開けられないみたいなんです。」

俺「ん…?」

K「カギは掛かってるみたいなんですが、こっちからのカギ穴なんてないんですよ。」

俺「な…?。じゃあ、あれか?内側からカギが掛かってるってことか…?」

K「そうなりますかね…。」

悪寒を感じた。

内側から掛かってるカギ。ということはどうなる?カギを掛けた何者かが、あの部屋にいるってことか。まぁ、ありえない構造ではない。でも何か引っ掛かる。

K「何ですかねぇ。誰か専用の個室なんですかねぇ。」

俺「まぁ、閉じ込められてるってわけじゃないし、そいつの意思で自由に出入りはできるからな。」

と言って、自分で気付いた。

K「そうですねぇ。自閉症か引き篭もりの人でもいるんですかね~。」

俺「いや待て、おかしいな。」

K「何がです?」

俺「その扉はそいつが開けられるとしても…あの倉庫、内側からカギは開けられないだろ。」

全く不可解だ。奥の扉は内側から開けられるが、倉庫自体の扉は開けられない。

倉庫のカギは、資材を取り出す時以外は、常に閉めることになっている。つまり、そいつは倉庫に閉じ込められていることになる。

K「あ…そうなりますね。そうだ、それに…あの部屋、夜、外から見ても明かり点いてたことないですよね。」

そうだ、確かに。残業で夜遅く帰るときでも、あの部屋から明かりが漏れていたことなんてない。カーテンのすき間はあるのに。

K「気になりますね…ちょっと調べてみましょうか。」

俺「うーん、まぁほどほどにな。」

翌日から、俺は出張だった。ユーザーにペコペコ頭下げて、接待しつつマズイ酒を飲んで、本社に戻ってきたのは3日後だった。

帰ってきた俺が聞いた最初のニュースは、Kが会社に来ない、という話だった。そしてその翌日聞いたのは、Kが1人で暮らしてるアパートにもいない、という話だった。

実家にも帰っておらず、結果、Kは行方不明となった。

当然、俺はあの倉庫の扉が気になった。しかし出張から帰りたてで、書類整理に忙しかった。それで気付くのが遅れた。

出張に行った翌日、Kからメールが来ていた。気付いたのは帰ってきてから3日後だった。

出張先でも特定の送信者からのメールは受け取れるようにしているが、Kは新人であったため、受け取る対象にしていなかった。まぁ…いいわけだ。

メールは一文だけで、こう書かれていた。

K『あきました』

あれから数週間たつが、Kはいまだに見つかっていない。俺は、もう倉庫には行かないようにしている。

あの扉が原因なのかどうかは分からないが、何か関わっていると、俺は確信している。

先日、昔俺が扉のことを聞いた先輩に会った。今は支社に勤めているので、会うのは数年ぶりだった。

俺はKの話をしてみた。すると、先輩は扉のことを教えてくれた。要約するとこんな感じだ。

・10年くらい前にも、扉に関心を持った社員が行方不明になっている(先輩の同期らしい)。

・ここは場所が悪い。霊が集まり易い場所だ、と聞いたことがある。

・会社の設立時、特別な部屋を作り、そこに”何か”を置き、誰も入れないようにした。

・何が置かれているかは知らない。社長は知ってるかも?(当然聞けない)

御神体だとか、怪しげな壷だとか、中には生けにえを捧げた、なんて噂もあった。話を聞いて、俺は疑問に思ったことをぶつけてみた。

俺「なんで扉を付けたのでしょう?」

先「部屋なんだから、扉がないとおかしいだろ?」

最もなことを言われた。確かに”部屋”というものなら、それは必要かも知れない。さらにもう1つ聞いてみた。

俺「じゃあ、窓は?なくてもいいですよね?」

先「…」

先輩はしばらく黙ってしまった。そして、こう答えてくれた。

先「おびきよせるには、必要なんだろ。お前、もうあの窓見るなよ?何か見えても、見なかったようにしろ、な。」

俺の頭には、あの窓からKが呼んでいる絵が浮かんだ。窓側の道を通るたび、俺は視線を感じる。いつか見上げてしまいそうな気がする。

耐え切れず、俺は転勤願いを出すことにした。先輩と同じように。


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